今年は例年より早く桃の花が満開になりました。
毎年茶々丸のお誕生日(4月末)に合わせるように咲いてきた庭の桃の木。
今年はひと足早く満開を迎え、改めて「桃と魔除け」のことを調べました。
桃の花が魔除けと言われる理由|古事記から紐解く
桃が魔除けのシンボルとされるようになったのは、日本最古の歴史書である『古事記』にまで遡ります。
その有名な場面が、イザナギノミコトと黄泉の国のお話です。
亡くなった妻イザナミノミコトを追って黄泉の国へ向かったイザナギノミコト。
しかし変わり果てた妻の姿に驚き、逃げ出します。
怒った鬼女たち(黄泉醜女・よもつしこめ)が猛烈な勢いで追いかけてきました。
絶体絶命のその瞬間、イザナギノミコトはそこに生えていた**桃の実を3つ掴み取り、鬼女たちに向かって投げつけました。
すると鬼女たちは恐れをなして退散したのです。
この功績を讃え、イザナギノミコトは桃の実に「オオカムヅミノミコト(意富加牟豆美命)」という神様の名前を与えました。
意味は「偉大なる神の霊力を持つ実」。
日本神話において、桃は神として祀られるほどの魔除けの力を持っていたのです。
縄文時代から日本にあった桃
桃は縄文時代にはすでに日本に存在していたとされています。
3世紀の遺跡とされる奈良の纒向(まきむく)遺跡では、2000個以上の桃の種が出土しました。
古代の日本人が桃を祭祀の供物として使っていた証拠です。
桃と日本人の関わりは、私たちが思う以上にずっと深く、長いものなのです。
桃の花言葉は「天下無敵」
桃の花言葉のひとつが「天下無敵」です。
可愛らしいピンクの花からは想像もつかない力強い言葉ですが、古事記の神話に由来することを知ると、深く納得できます。
庭に咲く桃の花を見るたびに、その小さな花びらのひとつひとつに、何千年もの歴史が宿っていることを感じます。
中国から伝わった桃の魔除け信仰
桃の魔除けの力は、日本だけの話ではありません。
そのルーツをたどると古代中国に行き着きます。
山海経(せんがいきょう)に記された桃の力
紀元前300年代から200年代にかけて書かれた中国最古の地理書「山海経(せんがいきょう)」に、こんな記述があります。
東海の度索山という地に、大きな桃の木があり、その枝が東北(鬼門)に向かう場所に、神荼(しんと)・鬱塁(うつるい)という二神がいて悪鬼を退治する。黄帝はこれに習って、桃の枝を門戸に挿して鬼を防いだ、と。
桃の枝は鬼門を守る最強のアイテムとして、はるか古代から信じられていたのです。
桃源郷は「魔除けの結界」だった
「桃源郷」という言葉をご存知でしょうか。中国の詩人・陶淵明(とうえんめい)が描いた理想郷です。
桃の花が咲き乱れる美しい場所、というイメージが強いですが、実はそれだけではありません。
桃の木で囲まれた桃源郷は、魔物の侵入を許さない結界の役割を果たしていると言われています。
「桃源郷=魔除けに守られた楽園」だったのです。
不老長寿の仙果・桃
中国では桃の実は「仙人の果実(仙果)」と呼ばれ、不老長寿や不死の象徴とされてきました。
西遊記で孫悟空が天界の蟠桃(ばんとう)を食べて大騒ぎになる場面は有名ですね。
それほど桃は神聖な果実として扱われていたのです。
桃の信仰が日本に渡った
こうした中国の桃への信仰は、大陸から日本に伝わり、古事記の神話とも結びつきながら、日本独自の「桃=魔除け」の文化として根付いていきました。
平安時代には「追儺(ついな)」という鬼を追い払う儀式で、桃の弓や杖が使われていました。
この追儺こそが、3月3日の節分(桃の節句)の起源とも言われています。
桃太郎も魔除けだった
桃の魔除けの力を感じる話は、神話だけではありません。
私たちが子どものころから親しんできた昔話「桃太郎」にも、深く刻み込まれています。
なぜ桃から生まれたのか
桃太郎は川から流れてきた桃の中から生まれ、犬・キジ・サルを仲間に連れて鬼ヶ島へ向かい、鬼を退治します。
「なぜ桃から生まれたのか」を考えたことはありますか?
民俗学の視点からはこんな解釈があります。
「邪気を祓う力を持つ桃から生まれた存在だからこそ、鬼を退治することができた」のだと。
つまり桃太郎は単なる勇敢な男の子の話ではなく、桃=魔除けのシンボルが鬼=災厄を祓うという、深い意味が込められた物語だったのです。
桃太郎と節分の「豆まき」は同じ意味
桃太郎が鬼を退治することで「桃で災厄を祓った」という解釈は、節分の豆まきにおける「豆=魔滅(マメ)」とも深いところでつながっています。
日本の昔話や行事には、こうした先人の知恵と祈りがさりげなく、しかし確かに込められているのです。
犬が鬼退治の仲間である理由
ここで少し寄り道を。桃太郎の仲間といえば犬・キジ・サル。
実は犬もまた、古来より魔除け・厄除けの象徴とされてきた動物です。
「犬筥(いぬばこ)」や「犬張子」が魔除けのお守りとして使われてきたことはよく知られています。
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桃の節句(ひな祭り)との深い関係
3月3日のひな祭りは、正式には「上巳の節句(じょうしのせっく)」といいます。
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旧暦の3月3日はちょうど桃の花が咲く季節でもあったことから、魔除けの力を持つ桃の花が自然と結びつき、「桃の節句」と呼ばれるようになりました。
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ひな祭りの飾りや食べ物のひとつひとつにも、魔除けの意味が込められています。
雛人形は子どもの穢れを移して厄災を身代わりに引き受けてくれる存在。
菱餅のピンク色は桃の花を表し魔除けの意味を持ちます。
白酒はもともと桃の花を漬けたお酒が起源で、邪気を祓うために飲まれていました。
ひな祭りは「女の子をお祝いする行事」というイメージが強いですが、その本質は見えない厄から子どもを守る、祓いの行事だったのです。
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実は桃の花の開花時期は3月後半から4月頃。ひな祭りの3月3日よりも遅いのです。
それでも「桃の節句」と呼ばれるのは、旧暦と新暦のズレと、何より桃の魔除けの力への深い信仰があったからこそ。
我が家の桃の木が毎年4月末、茶々丸のお誕生日のころに満開になるのは、旧暦で考えればむしろ自然なことかもしれません。
狆もまた魔除けだった
桃の花と茶々丸の組み合わせには、実は歴史的な必然があります。
狆もまた、古来より魔除けの象徴とされてきた犬だからです。
宮中で魔除けとして飼われた狆
狆は平安時代から江戸時代にかけて、天皇家や公家・大名の屋敷で大切に飼われてきました。その役割は単なる愛玩犬ではありません。
邪気を払い、家を守る魔除けの存在として、特別な扱いを受けていたのです。
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お雛様の飾りの中に「犬筥(いぬばこ)」をご存知でしょうか。
白い犬の形をした小さな箱で、子どもの魔除けや安産のお守りとして使われてきました。
犬が魔除けのシンボルとして定着していた背景には、狆をはじめとする犬が宮中で大切にされてきた長い歴史があります。

桃の花の下に狆がいる意味
古来より魔除けとされてきた桃の花。
そして同じく魔除けの象徴として宮中で大切にされてきた狆。
この2つが我が家の庭で毎年春に出会います。桃の花が満開になるころ、茶々丸はその下でのんびりと過ごします。
歴史や文化を知ってから眺めると、その光景がただの春の一コマではなく、何百年もの時間を超えた魔除けの力が重なり合う瞬間のように感じられます。
茶々丸と桃の花。これほど縁起の良い組み合わせはないと、飼い主として誇らしく思っています😊
詳しくは→犬張子・犬筥・疫病退散させた狆ズ
我が家の桃の花と茶々丸のお誕生日
我が家の庭には、元々あった桃の木があります。
いつからそこにあるのかわからないほど、庭に自然に根を張っている木です。
毎年、誕生日を祝うように咲く
その桃の木が、毎年4月末になると美しく咲きます。
茶々丸のお誕生日は4月末。12年間、桃の花は毎年欠かさず、まるで誕生日を祝うかのように満開を迎えてきました。
桃の花が咲き始めると「また茶々丸の誕生日が来る」と感じます。庭の桃の木が、茶々丸と過ごしてきた時間を毎年教えてくれるのです。
今年は魔除けの意味を知って、見え方が変わった
今年は例年より早く桃の花が満開を迎えました。茶々丸の誕生日を待たずして、庭が一面のピンク色に。
その美しさをインスタグラムに投稿すると、フォロワーの方から「魔除けなのですね」というコメントが届きました。
それがきっかけで、桃の花の魔除けの意味を調べ始めました。
古事記・桃太郎・ひな祭り・そして狆の歴史まで、次々とつながりが見えてきて、驚きと感動を覚えました。
ただ美しいと思って眺めてきた庭の桃の花が、何千年もの歴史を持つ魔除けの花だったとは。
今年は12歳のお誕生日
今年の4月末、茶々丸は12歳を迎えます。
薬剤アレルギーがあり、3歳間近に関節炎を発症し、手作り食で自然治癒してきた茶々丸。
それでも12年間、元気に過ごしてきました。
魔除けの桃の花の下で暮らす、魔除けの狆・茶々丸
元々あった庭の桃の木が、ずっと茶々丸を守ってくれていたのかもしれないと、今は心からそう思っています🌸
お読みくださり、ありがとうございます。




