はじめに
先にお断りしておきたいのですが、これから書く内容はあくまで我が家での「推測」です。
茶々丸が実際に薬の影響で耳が聞こえにくくなっていたのかどうか、科学的に証明されたわけではありません。
茶々丸は極端な薬アレルギー体質で、無農薬栽培をされている方々からは「農薬探知犬」とあだ名をつけられたことがあるほど、匂いや薬剤への反応が特殊な子です。
今回の話も、そんな茶々丸だからこそ疑わしく感じた、かなり特殊なケースとして読んでいただけたらと思います。
年齢のせいだと思っていた、2ヶ月間の「聞こえにくさ」
角膜の傷の治療をしていた時期から8月にかけての約2ヶ月間、茶々丸の耳が聞こえなくなったように感じていました。
呼びかけへの反応が鈍く、「シニアだから、年齢的なものだろう」と思っていました。
ところが9月になり、食欲が戻って体重も回復し、元気になったタイミングで、耳もまた聞こえるようになったのです。
この一致に、「本当に年齢のせいだったのだろうか。目の治療と何か関係があったのでは」と考えるようになりました。
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まず考えた3つの仮説
思いついた仮説は、次の3つでした。
- 目薬から逃げ回るときに、耳の筋肉にロックがかかってしまう
- 痛みのネットワークによる一時的な麻痺(以前の記事で触れた、目と顎をつなぐ神経の影響)
- 低気圧と湿気による内耳のむくみ
調べてみて分かったこと
①耳の筋肉のロックについて
これは、医学的に確立された仕組みとしては見当たりませんでした。
犬が緊張・警戒しているときに耳の姿勢が変わることはありますが、それが聴覚そのものを一時的に麻痺させるという機序は考えにくいとのことです。
②痛みのネットワークによる麻痺について
以前の記事で、目と顎の筋肉が三叉神経でつながっているという話をしました。
ただ、聴覚を伝えているのは内耳神経(第VIII脳神経)という別系統の神経です。
強い痛みがあると周囲への反応が鈍くなることはあり得ますが、それは「聞こえなくなる」というより「反応する余裕がなかった」という状態に近いのかもしれません。
③低気圧・湿気による内耳のむくみについて
人間では、気圧や湿度の変化がメニエール病のような内耳の症状に関係することが知られています。
犬でこの機序が確立されているわけではありませんが、「あり得なくはない」仮説のようです。
ただ、8月は高温多湿が続く時期でもあるため、これだけを単独の原因と特定するのは難しそうでした。
見つかった、もう一つの有力な候補:ゲンタシンの耳毒性
そして調べていく中で、一番ショックだったのがこちらです。
治療終了後に処方されていた目薬の一つ、ゲンタシン(ゲンタマイシン)は、アミノグリコシド系抗生物質という種類の薬で、この系統の薬には「聴器毒性(耳を傷つける副作用)」があることで知られています。
第VIII脳神経(内耳神経)への障害による聴力低下が、アミノグリコシド系に共通する代表的な有害反応として挙げられているとのことでした。
もちろん、通常の点眼(局所使用)では全身への吸収量はわずかで、聴器毒性が問題になるのは主に注射などの全身投与のケースです。
ですが、以前の記事で書いた通り、茶々丸はNSAIDs系の目薬(ティアローズ)だけで嘔吐という全身反応が出たほどの、極端な薬アレルギー体質です。
同じ期間にゲンタシンも点眼していたことを考えると、微量の全身吸収でも、通常の犬より強く反応していた可能性は十分あるのではないかと感じています。
もう一つ、シンプルな可能性も
もう一つ付け加えるなら、痛み・食欲不振・脱水気味といった状態が重なると、シニア犬は全体的に元気がなくなり、周囲の音への反応が鈍くなることがあります。これは本当の「聴力低下」ではなく、「呼びかけへの反応が鈍っていた」という状態だったのかもしれません。
9月に体重が戻り、元気になったタイミングと「耳が聞こえるようになった」タイミングが一致しているのは、耳そのものの回復というより、全身状態の回復が反応の良さとして表れた、という見方もできます。
まとめ
| 仮説 | 医学的な裏付け |
|---|---|
| 耳の筋肉のロック | 確立された機序としては見当たらない |
| 痛みのネットワークによる麻痺 | 部分的にあり得る(反応の鈍化として) |
| 低気圧・湿気による内耳のむくみ | 人間では類似例あり、犬では未確立 |
| ゲンタシンの聴器毒性 | アミノグリコシド系の既知の副作用として、可能性が考えられる |
| 全身状態の回復による反応の改善 | 説明として自然 |
本当の原因は、正直なところ分かりません。
ただ、今回の一連の経験を通して、「シニアだから」「年齢のせいだから」と片付けてしまう前に、その時期に使っていた薬や体調との関連を疑ってみることも大切だと感じました。
次回、同じような目薬による治療を受ける機会があれば、「この時期、耳の聞こえが悪くなったように感じた」という経過も、必ず獣医さんに伝えようと思います。
最後にもう一度お伝えしますが、この記事の内容はあくまで我が家での推測です。
茶々丸が実際にゲンタシンの影響で耳が聞こえにくくなっていたのかどうかは、証明されたものではありません。
茶々丸は極端な薬アレルギー体質で、無農薬栽培の方々から「農薬探知犬」とあだ名をつけられるほど、匂いや薬剤に特殊な反応を示す子です。
すべての犬に当てはまる話ではなく、あくまで一頭の特殊なケースとして受け止めていただけたら幸いです。
本記事は筆者の実体験に基づく記録であり、獣医学的な診断や治療方針を示すものではありません。愛犬の聴力や体調に異変を感じた場合は、必ずかかりつけの動物病院にご相談ください。
お読みくださり、ありがとうございます。


